公益社団法人能楽協会と一般社団法人日本能楽会は1月23日、国立能楽堂大講義室にて会見を開き、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた事業を発表した。すなわち、本年2019年は、能楽の魅力をあらゆる人々に発信し、翌年への盛り上がりの起点となる「ESSENCE能」を行い、翌2020年には、東京オリンピック・パラリンピック大会期間中に、現能楽界を代表する重鎮を揃え、歴史的祭典に相応しいスペシャル公演「能楽フェスティバル2020日賀寿能(仮称)」を実施するというもの。特に2020年の「日賀寿能」では、全役全流の能楽師が出演するだけでなく、シテ方全流の宗家、能楽協会の全支部(東京・名古屋・北陸・京都・大阪・神戸・九州)が一堂に会し、能楽会を挙げての一大フェスティバルとして構成されている。
会見では、能楽協会理事長の観世銕之丞氏が「文化的な波が動き出している今、多くの人に少しでも能楽に興味を持ってもらいたい」と主旨を説明した後、「ただし普及だけでは能の持つ深さが伝えにくい。本格的な公演と合わせて、能の本質的な面白さを知っていただければ」と抱負を述べ、日本能楽会常務理事の粟谷能夫氏は「能を再発見していただけるチャンス。日本能楽会、能楽協会一丸となって取り組んでいきたい」と意気込みを語っていた。会場となる千駄ヶ谷の国立能楽堂はオリンピックのメインスタジアムにも近く、国内外から多くの来客を期待している。 特別プログラムの各公演詳細は以下の通り。
【ESSENCE能〜4つのテーマの新感覚公演】
①バリアフリー対応:7月31日(水)14時/狂言「蝸牛」野村万蔵、能「舎利」友枝雄人、②多様性:7月31日(水)18時45分:「三番叟」野村萬斎、能「羽衣」津村聡子、半能「船弁慶」髙橋忍、③幽玄:8月4日(日)13時:半能「井筒」朝倉俊樹、狂言「狐塚」山本則重、能「葵上・梓之出」豊嶋晃嗣、④多言語対応:8月4日(日)16時半:狂言「梟」大藏彌太郎、能「土蜘蛛」山崎正道。
【能楽フェスティバル2020 日賀寿能(仮称)】
①7月27日(月):「翁」観世清和、三番叟・野村萬斎、狂言「末広」大藏彌右衛門、半能「石橋・古式」金春憲和、②7月28日(火):能「清経」友枝昭世、(狂言未定)、③7月29日(水):狂言「二人大名」茂山千五郎、茂山忠三郎、能「葵上・古式」大槻文藏、④7月30日(木):狂言「棒縛」野村万蔵、能「邯鄲」武田孝史、⑤7月31日(金):狂言「月見座頭」山本東次郎、能「道成寺」金剛龍謹、⑥8月3日(月):「翁」金春安明、三番三・大藏彌太郎、狂言「二人袴」山本泰太郎、半能「絵馬・女体」粟谷能夫、⑦8月4日(火):狂言「川上」野村萬、能「安宅・勧進帳・滝流之伝」観世銕之丞、⑧8月5日(水):狂言「茸」野村萬斎、能「羽衣・和合之舞」梅若実、⑨8月6日(木):狂言「木六駄」野村万作、能「船弁慶・白波之伝」金剛永謹、⑩8月7日(金):狂言「棒縛」大藏基誠、善竹富太郎、能「道成寺」宝生和英ほか。
※いずれも公演チケット等詳細は能楽協会公式ホームページ(http://www.nohgaku.or.jp/)で後日発表予定。