株式会社電通は8月25日、「能」の可能性をテクノロジーで拡張させることをテーマにした、《テク能プロジェクト》を始動させることを発表した。
このプロジェクトは、能を多様な先端テクノロジーと組み合わせることで、伝統芸能としての新たな展開と現代社会の様々なシーンでの活用を目指すもの。「能の高尚で難解という固定観念を刷新するために、〈共創〉による新たな価値創造が有用になる」という考えのもと、さまざまな企業、団体、クリエーターを巻きこみながら、ビジネスシーンを含めた活用に取り組んでいく。具体的には、海外訪日客を含む舞台観覧、企業CM、動画コンテンツ、プレゼンテーションなど、多くの分野を想定している。
同プロジェクトの第一段として、国立新美術館で開催される『ダリ展』(9月14日〜12月12日)のオープニングセレモニーで新作「ダリ能」が上演される。この「ダリ能」はシテ方観世流清水寛二氏を中心に、〈テクノロジー〉の分野から「株式会社大槇精機」が高精度の金属削り出し技術で新作の能面を制作、また映像演出を最新のメディアテクノロジーを駆使したプロジェクトで注目されるクリエイティブ集団「ライゾマティックス アーキテクチャー」の齋藤精一氏が担当し、デジタル時代の幽玄美が生み出すねらい。
「ダリの魂を会場へ呼び戻す」というテーマで制作された謡(作成=村上史郎、節付=清水寛二)には、現代科学の進歩を言祝ぐ姿も描かれており、ダリの作品さながらの時間を超越したパフォーマンスが期待される。
〈ダリ能概要〉
日時:9月13日(火)16時〜
会場:新国立美術館ホワイエ(東京都港区六本木)
※開会式は招待者のみ入場可能。一般公開はありません。