4月20日、銀座(東京都中央区)に「二十五世観世左近記念 観世能楽堂」が開場した。同能楽堂が収容されるのは、同地に立つ複合商業施設『GINZA SIX(ギンザ シックス)』の地下3階。2年前に閉場した松濤(東京都渋谷区)の能舞台をそのまま移築した。開場日当日には『開場記念公演』が行われ、二十六世観世宗家観世清和氏の「翁」をはじめ、豪華な番組で開場を祝した。
新能楽堂は、座席数は480席。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え外国人観光客や若年層の観客動員数増加を狙う。また、バリアフリーにも力を入れ、車椅子席を設けるなど誰でも快適に能を楽しめる空間を目指した。さらにはイヤホンガイドのインフラ整備や座席スペースに余裕を持たせるなど、観劇環境も充実させる。
開場に先立つ14日に行われた報道発表で、観世清和氏は「観世家は徳川家光公より拝領した土地を維新とともに返納した。今回は150年ぶりの帰還」とした上で、「日本の伝統芸術の底力をみせてやる、という意気込みでこの地に舞台を構えさせていただいた」「歌舞伎座や帝国劇場をはじめ、まわりに由緒ある劇場がたくさんある。良い形でネットワークを築き、能楽という世界をもっと知ってもらえれば」と意気込みを語った。能楽堂のみのフロアには、エントランスから鏡板の松があしらわれるなど内装にも配慮。「自然の中で能がおこなわれていた昔のように、木のぬくもりを感じていただける空間に」と話していた。
なお、新能楽堂は能以外の催しも行う〈多目的ホール〉としても活用される。また、来年には地下鉄銀座駅からの地下通路も整備される予定。(写真は14日、報道会見で新能楽堂について説明される観世清和氏)
※『能楽タイムズ』5月号より